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カイコ-バキュロウイルス系組換えタンパク質

タンパク質の糖鎖修飾の違いを理解する

発現系による糖鎖修飾の決定的な違い

まず、タンパク質生産で汎用される「大腸菌」「昆虫細胞」「哺乳類細胞」の3つを比較してみましょう。

最も安価で迅速にタンパク質を発現できる「大腸菌」は、そもそも糖鎖を付加する能力を持っていません。一方、CHO細胞などの「哺乳類細胞」は、ヒトに近い複雑な構造の糖鎖(シアル酸を含む多分岐型)を付加できるのが強みです。

その中間に位置するのが「昆虫細胞(バキュロウイルス発現系など)」です。昆虫細胞は、タンパク質に糖鎖を付ける能力は持っていますが、その構造は哺乳類ほど複雑ではなく、主に「パウシマンノース型」と呼ばれる、マンノースを主体とした短くシンプルな糖鎖が付加されるのが特徴です。

昆虫細胞系の強みと研究現場での適性

研究者の視点から見た昆虫細胞系の最大のメリットは、高い発現量と「ほどよい」修飾の両立にあります。哺乳類細胞よりも培養が容易、かつ大腸菌では困難な「正しい立体構造の形成」が期待できます。

特に構造解析(X線結晶構造解析など)においては、糖鎖が長すぎると結晶化の妨げになることが多いため、あえて構造の均一性が高い昆虫細胞系が選択されます。また、ウイルス様粒子(VLP)や複雑なマルチサブユニットタンパク質の生産においても、昆虫細胞系は高いパフォーマンスを発揮します。

昆虫細胞系の限界とこれからの展望

一方で、昆虫細胞が作るタンパク質の糖鎖にはシアル酸が含まれないため、ヒトの血液中では安定性を欠き、医薬品として投与する場合は半減期が短くなる傾向があります。この課題を解決するため、哺乳類由来の糖転移酵素を発現させた昆虫細胞の開発も進んでいます。

今後、昆虫細胞系は従来の「ほどよい修飾を持つタンパク質を大量に作る」だけのシステムから、「付加価値の高い(適切な糖鎖を持つ)タンパク質を大量に生産する」システムへの進化が見込まれます。

KAICOでは、受託サービスにて多種多様なタンパク質の発現に取り組んでいます。中には、哺乳細胞や昆虫細胞系では発現が見られなかったものの、当社のカイコ-バキュロウイルス系では発現が確認できたケースもございます。

タンパク質の発現でお困りでしたら、是非一度お問い合わせくださいませ。