カイコ-バキュロウイルス系
タンパク質の安定性と回収 ― カイコ蛹がもたらす高品質な生産基盤
タンパク質生産において重要な「安定性」と「回収効率」
医薬品や診断薬、研究用試薬の開発において、目的タンパク質を高品質な状態で生産・回収することは非常に重要です。どれほど高い発現量を実現できたとしても、回収過程でタンパク質が分解されたり変性したりすると、本来の機能を十分に発揮できなくなる可能性があります。そのため、タンパク質の生産現場では、発現量だけでなく「安定性」と「回収効率」が重要な評価指標となっています。
カイコ蛹が実現する高品質なタンパク質生産
カイコ-バキュロウイルス発現系では、カイコ蛹そのものを天然のバイオリアクターとして利用します。カイコは高いタンパク質生産能力を持ち、一頭の蛹が昆虫培養細胞100mL~1000mLに相当する発現能力を有するとされています。さらに、高次な翻訳後修飾を受けたタンパク質を生産できるため、機能性や品質の面でも優れた成果が期待できます。
蛹ホモジナイズがもたらす高いタンパク質安定性
タンパク質生成における蛹ホモジナイズのメリットは、タンパク質の安定性と回収効率の高さにあります。ホモジナイズとは、蛹全体を均一に破砕し、目的タンパク質を抽出しやすい状態にする工程です。
一般的に、生物組織を破砕すると細胞内に存在するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が放出され、目的タンパク質が分解されてしまうリスクがあります。しかし、カイコ蛹は変態過程にあるため摂食を行わず、幼虫期と比較して消化機能が低下しています。その結果、タンパク質分解に関与するプロテアーゼ活性が低い状態にあり、蛹全体をホモジナイズしても目的タンパク質が分解されにくいという特長があります。
こうしたカイコ蛹の特性を生かして、KAICOではこれまで生産が困難だったタンパク質の発現にも取り組んでまいります。